ナラ枯れと樹木医と古木

kanazu362011-06-26

6月24日、パリで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の
第35回世界文化遺産委員会で日本政府が推薦した「小笠原
諸島」が世界自然遺産に登録されることが決定した。
先に佐渡が世界農業遺産に登録された。
自然の生態系が見直される中、害虫によってナラが立ち枯れする「ナラ枯れ」問題の深刻化が大きな社会問題になっている。
山形県森林研究研修センターでは、フェロモンに集まるカシナガの習性に着目し、誘い集めて駆除する方法を考案したと新聞に。
ナラ枯れと害虫駆除
 ナラ枯れとは、広葉樹の伝染病。
 体長約5ミリのカシノナガキクイムシ(カシナガ)が幹に穴を開け侵入し繁殖、カシナガの一種が樹液の流れる管を詰まらせ、木を枯死させること。
 昨平成22年度の林野庁の調査によるとナラ枯れは29都府県で被害が確認されている。
 原因として、かつては炭や薪として利用していたナラの木を伐採しなくなり、老木が増えたことなど指摘されている。
 新潟県治山課緑化係の統計によると、新潟県では、昭和63年に旧東頸城郡で被害が確認され、平成14年度に阿賀町を中心に急激に拡大し、平成16年度には10万本を超える被害量となった。
 その後は、被害の受けやすいミズナラの大径木が枯死したこともあり、一時、大幅に減少したが、平成22年度は、魚沼、糸魚川地域で被害が増加したことから、被害本数11万4000本と平成21年度の約1.2倍となった。
 ・ナラ枯れ害虫の駆除
  フェロモンに集まるカシナガの習性に着目し、誘い集めて駆除する方法は2種類。
  ・伐採した丸太に合成フェロモン入りの容器を設置する方法で、カシナガを集めた上でチップなどに加工する
  ・健康な立ち木に設置する方法で、「おとり木」にナラ枯れの原因になるナラ菌を殺菌する薬剤を注入する
 ・佐渡で害虫駆除に合成フェロモン入りの容器設置の実証実験 
  山形県で数年前から合成フェロモン入りの容器設置の実証実験を実施している。
  佐渡でも山形県と同様の合成フェロモン入りの容器を設置の実証実験6月6日から開始した。
  実験では伐採した健康なナラの丸太100本の「おとり木」に容器を取り付けた。
樹木医と古木
 樹木医とは、樹木の診断及び治療、後継樹の保護育成並びに樹木保護に関する知識の
 普及及び指導を行う専門家。
 ・古木
  ・新潟市北区高森の大ケヤキ
   新潟市北区高森の稲荷神社本殿の左側に大ケヤキがそびえる。
   大ケヤキは、高齢化が進み幹や枝が空洞化して折れやすくなっている。
   大ケヤキは、枝が折れないよう無数の鉄の柱で支えられている。
   ・推定樹齢:1200年 ・根回り:12,4m ・目通りの回り:10m ・高さ:20m
   1987年から2006年までの20年間に総事業費約1000万をかけ養成工事が繰り返し行われてきた。
   大ケヤキを地域のシンボルとして敬う地元自治会では、大ケヤキを守るため新潟市樹木医派遣を要望している。
  ・魚沼市滝之又の二本杉
   魚沼市滝之又の名木「滝之又の二本杉」は、諏訪神社の境内に約3mの間隔で並んでそびえている。
   ・推定樹齢:800年 ・幹の回り:6〜7m ・高さ:45m
   幹に多くの穴が開き枝が腐って落ちるなど衰弱が目立つ老杉。
   心を痛めた集落の人々が話し合ってお金を出し合い、県と市の補助を得て6月15日から同21日にかけて樹木医による治療が行われた。
   地元では「治療の効果が出て早くもとの元気になってほしい」と。
ナラ枯れの害虫駆除対策と樹木医による古木の治療活動が続く。

樹木医の治療活動を見守る (イラストを模写)