旧神林村のお幕場と塩谷集落町並み

kanazu362008-08-01

7月30日の新聞「にいがたなるほど探偵団」に
「あごかため」という言葉が説明されていた。
会社内での異動直後に、先輩から「あごかためするか」と
よく言われた記憶がある。
新潟酒達人検定公式ガイドブック」に業界用語として、あごかためは「酒造りが始まる
時期に蔵人が催す初顔合わせの宴席」とある。
ガイドブック作成検討員の中村行善(53)さんは、蔵人が集まる10月に「あごかため」を、
逆に酒造りが終わる4月には、解散式の「あごわかれ」をやると。
旧塩谷村生まれで、定置網漁などを経験している野市広市(73)さんは、「漁期の初めに
メンバーが集まり、大漁を祈願して一杯やる浜の風習だった」と。
村上・岩船の方言に詳しい村上市の長谷川勲(79)さんは、「網子(あみこ)・あんご・
あご」へと変化したと補足する。
神林村は平成20年4月1日村上市に合併した。
旧神林村には、お幕場と昔の面影を残す塩谷の町並みがある。
神林村と塩谷村の町村合併を調べた。
・1889年4月1日町村制施行に伴い、岩船郡平林村・塩谷村・神納村・東神納村が
 成立
・1901年11月1日、平林村と塩谷村が合併し、平林村となる
 神納村と東神納村が合併し、神納村となる。
・1955年1月10日 - 神納村、平林村、西神納村が合併し、神林村が発足
・2008年4月1日 - 村上市、荒川町、朝日村山北町と合併し、新生村上市誕生
7月19日旧神林村のお幕場と塩谷集落の町並みを訪ねた。
・お幕場
 松林の入り口に「お幕場」の由来と書かれた案内板がある。
 昔は、松林の高さが低く、海が見渡せる景勝地であったことから、村上藩主の巡村や
 幕府の巡見使の藩政視察の際には、この地に定紋入りの幕を張ったといわれている。
 また、村上の殿様の奥方も、この地に幕を張りめぐらして一日の遊山を楽しんだと
 いわれている。
 このような由来から、愛称としての「お幕場」という言葉が生まれたと思われますが、
 いずれにしても、ここの松の姿の美しいことから呼び伝えれれてきたものです。
 今では神林村(現村上市)が、春に「お幕場」でお茶会を開催している。
・昔話:村上藩の松林奉行給「米五斗」とお幕場の松林
 寛永21年(1644)の「定岩船郡新保村申之物成米之事」という年貢関係の文書
 には松林奉行給「米五斗」とある。
 藩政時代の燃料は木やその枝葉でした。
 特に、燃料とするべき雑木山を持たない平場の村々の人にとっては、この美しい松林
 から出る松葉・松ぼっくり・枯れ木は生活に欠かすことのできない燃料でした。
 このようなことから、村上藩より松林奉行給として「米五斗」を与えられた看守人が
 置かれ松が大切に管理されていた。
 同時に、山廻り人夫や山林出役も置いて病害虫や枯損木の発見などの松林の管理を行う
 とともに松苗の補植も行った。
 「お幕場松林」の場内には「塩くみ道」「棚木つけ道」「草刈り道」「いわし道」「金蔵道」
 などと呼ばれる道があり松林と人々の生活は結びついていた。
 神林村森林公園を歩きお幕場まで行った。
 公園入り口には、「この松林は6月10日から6月13日の間ヘリ散布か地上散布を
 行いました。殺虫剤を散布しましたので9月1日までの間、山菜採り・笹採り等は
 行わないようにお願いします」の看板が立てられていた。
 殺虫剤を散布のおかげで赤松林が今も元気に青々としているのが分かった。
・塩谷の町並み
 昭和48年ころ仕事で一度塩谷集落を歩いたが、町並みは記憶にない。
 塩谷の町や散策の資料には、
 塩谷は、県の北部岩船郡の南部に位置しており山形県南西部を源とする荒川の河口北側
 に展開する町である。
 海岸線に沿って直線的に連なる町並は、荒川にぶつかる位置から直ちに始まり、砂丘
 微高地に家々が建ち並んでいる。
 日本海に直接面す集落で、特に季節風の吹付ける冬の気候条件が厳しいため、家々は
 ほぼ全体が板貼りとなっており、中には通りに面した二階部分に窓がなく、全て板で
 覆われている例もある。
 町の北半分ではやや街路が広くなり、妻入りの伝統的な家屋が多数連続した見応えの
 ある町並風景が展開している。
 醤油醸造を現在も続けられいている老舗もあって、北前船以来の町の繁栄が今でも語り
 継がれていると書かれている。
 塩谷地区では、毎年10月に「塩谷の町屋散策」と「お茶会」を開催している。
 街の中心にある塩竃神社に車を止め、街を散策した。
 神社を背に街を歩るき右側の坂道を登ると港に出た。
 浜辺では家族連れが海水浴を楽しんでいた。
 その昔、村上藩ではこの港の重要性を考え、村外れの小高い丘に「沖の口番所」を
 置いた。
 今では称荷山として小さな祠を建て、稲荷神社として祀っている。
荒川河口の港町として栄えた旧塩谷村から浜辺に通ずる砂丘地帯は赤松が生茂る。
松林はの中に「御幕場”日本の白砂青松百選”」と書かれた石碑が建ち、脇には「名勝史跡
お幕場」と書かれた標柱も立つ。
近くには白鳥の飛来する砂丘湖の大池がある。

松林を歩く (イラストを模写)