農具展めぐりで昔を偲ぶ

kanazu362009-03-18

昨3月17日は彼岸の入り、新潟市中央区で今年はじめて
黄砂を観測、街は白くかすんだ。
新潟県魚沼地方に春の訪れを告げる南魚沼市大里の一宮神社
境内で開かれる農具市が3月12日始まったと新聞に。
「農具」という懐かしい言葉に魅せられ3月13日農具展めぐりに出かけ昔を偲んだ。
特別養護老人ホーム虹の里の農具展(新潟市西蒲区潟東)
 職員に「昭和横町通り」を案内された。
 職員の話す「虹の里」農具展開設のエピソードが面白い。
 職員が介護向けの月刊誌に掲載されていた愛知県の特養ホーム「高浜安立荘」の記事、
 心理療法「回想法」に注目したのがきっかけだと。
 心理療法「回想法」とは、過去を振り返って話したり、書いたりしてもらう心理療法
 昔を回想することで認知症の進行を予防すること。
 虹の里では、実践のため昔の農具や風景写真を集め「昭和横町通り」と名づけたコーナー
 に展示している。
 コーナーには、懐かしい写真と石臼(いしうす)・唐箕(とうみ)・わらじ・みのなど
 約40点の農具が並ぶ。
 入所者は、潟東の懐かしい風景写真や農具を見ながら「あれは・これは」と昔のことを
 思い出し話がはずむ。
 虹の里では、地域の人たちに家に眠っている農具や写真などの提供を呼びかけている。
・潟東歴史民俗資料館(新潟市西蒲区潟東三方)
 歴史民俗資料館2階が、民俗資料コーナーとなっている。
 鎧潟コーナーと米作りの里の農具や民具など約400点が陳列されている。
 鎧潟は、昭和41年4月国営事業として悪水が新川に排水され干拓され乾田化された。
 惜しまれつつその姿を消したあり日の鎧潟を偲ぶ鎧潟コーナーがある。
 ・小てん舟・生簀(いけす・フナや鯉を生かしておく入れ物)・稲積船
 ・漁(人が隠れて鉄砲で鳥を撃つ)・カニ網(エサを入れ川カニをとる)
 ・カブセ網(魚の入ると思うところへ上からかぶせた)・ぬか海老取り大網
 ・鮒たつべ(エサを入れ小魚をとる)
 等など懐かしい農具や民具が。
 低湿地帯で悪水と闘い農業に励んだ農民の苦労が、農具や民具から伝わってくる。
・農産物直売所「にしかん」展示場(新潟市西蒲区新谷)
 農産物直売所は井田忠三(73)さんが管理する
 井田さんが20年かけてこつこつと集めた昔懐かしい農具約60点が陳列されている。
 ・代かき機・苗揚げ舟(苗代用)・害虫取り舟・収穫用デコ・モントシ・カテドシ
 ・野良着・ワラジ・フカグツ・ミノカサ・荷かつぎ用荷縄・コスキ・俵編み機
 ・牛の鼻鐶・籾かき・田植甲縄・ワラスグリ・・・等など。
 見学していた老人が、農具を見ると辛かった昔を思い出し見るのが辛いと。
・旧庄屋佐藤家(新潟市西蒲区福井)
 旧庄屋佐藤家は「角海浜物語―消えた村の記録」の著者で福井に住む斉藤文夫(76)
 さんが管理する。
 斉藤さんとは「角海浜村と毒消しの里」の話で親しくなった。
 屋敷入口に「旧庄屋佐藤家」と書かれた看板がかかり、玄関には「佐藤幸七」と書かれた
 表札がある。
 母屋の隣の農作業場には「佐藤家民俗資料館」の看板もある。
 斉藤さんが昔、佐藤家や福井地区周辺の農家で使われていた農具や民具を集め整理し
 陳列した。
 特徴は、写真家であった斉藤さんが昭和20年・30年代に撮影した、農具や民具を
 使って農作業する農民の姿の写真だ。
 写真や農具や民具から昭和20年・30年代の農民の暮らしが伝わってくる。
 佐藤家は農家であつたが、大正時代には福井地区の名物である「ゆべし」の製造販売も
 行なっていた。
 その時の看板や包装紙が写真で残されている。
昨17日のテレビで新潟市が、昭和51年(1976)に旧巻町の個人宅で発見された
のぞきからくり」の補修作業を行い、7月の「水と土の芸術祭」で特別公開すると
報じていた。
のぞきからくりの発見者の一人である福井の斉藤文夫さんの姿をテレビで見つけた。
農具や写真を見ると子どものころの昭和20年代が甦り故郷の懐かしい光景が瞼に
浮かぶ。

あれが唐箕であれは石臼 (イラストを模写)