のぞきからくりとからくり人形
にいがた「水と土の芸術祭」の開催に合わせ新潟市美術館で
毎週日曜日6回「のぞきからくり」の特別上演が行われると知り
16日見学してきた。
早朝からのぞきからくりを見ようと屋台の前に多くの人が集まる。
・のぞきからくり(新潟市中央区西大畑:新潟市美術館・8月16日)
資料によると「のぞきからくり」の源流は三つに分けられる。
・17世紀に到来したヨーロッパの「眼鏡絵(めがねえ)」と「覗(のぞ)き眼鏡」
:遠方法で描いた銅版画を凸レンズで覗くもの
・17世紀末に竹田からくり人形座の人形を模したをものを覗き眼鏡で覗く
:のぞきからくり
・中世に発生した仏の教えや寺の縁起などの掛け物に仕立て、それを物語風に解説する
:絵解(えと)き
これら三つのものが一体となって後世の形式になったのは18世紀の末の天明年間。
最盛期は明治・大正時代で、その後映画の出現で昭和10年ころを境にして衰退して
いった。
今回展示されているのは、1976年に旧巻町の個人宅で発見されたもので日本に3台
しかないといられる中の1台。
屋台は、高さ・幅各4mで表面にのぞき穴が24個付いている。
下段は子ども用に10個、上段は大人用に14個。
のぞきからくりの出し物は「幽霊の継子(ままこ)いじめ」。
口上師が、「幽霊の継子いじめ」はじまりはじまり。
「世にもあわれな物語、所は大阪天下茶屋・・・」
口上師の口上と操りで7枚の絵が入れ替わる。
途中で脇にいる人が「はい後ろの人と入れ替わり」と。
最後は屋台最上部の観音開きの戸が開き「わが子の菩提のため剃髪する継母の
姿が・・・」。
上演時間は約7分間。
大人も子どもも中腰のなってレンズを覗く。
いまの子どもたちは「継母(ままはは)」という言葉を知らない。
先日口上後、子どもから「ままはは」の意味を聞かれ答えようとすると、1人の子が
「ママは母に決まっている。だからままははさ」と答え口上師もこの珍回答に「まいった」と。
・からくり人形(旧白根市大郷:2008年4月18日)
新潟市在住の日根之和(67)さんは、旧白根市大郷で「越後大郷からくり館」を開設し
からくり人形の演技を披露する。
越後大郷からくり館を訪ねたのが昨年の4月だった。
日根さんは独学で江戸時代の幕府・天文学者、細川半蔵頼直の著した「機巧図彙
(からくりずい)」に掲載のからくり人形9体を全て復元製作した。
さらに各地に伝わる山車(だし)からくり「綾渡り」「乱杭渡り」「桜渡り」「倒立童子」や、
オリジナル作品の「短剣投げ唐子人形」、「ろくろ首」等も製作した。
今では新潟県立自然科学館・公民館・老人会等で出張実演を行っている。
目の前で「弓射ち童子(弓曳き童子)」「五段返り人形」「品玉人形」の実演を見せてくれた。
新潟市美術館で公開されている「のぞきからくり」は、水と土の芸術祭が終わると巻郷土
資料館に展示される。
旧巻町に「のぞきからくり」があり旧白根市大郷に「越後大郷からくり館」がある。
のぞきからくりとからくり人形は、多くの人たちを楽しませてくれる。
レンズを覗く (イラストを模写)