サケ溯上の信濃川と小阿賀野川の魚道
昨7日は二十四節季の立冬、暦の上ではもう冬。
新潟地方気象台によると新潟市の最高気温は、21.9度と
平年の15.9度を6度も上回る10月上旬並みの陽気。
信濃川をサケが溯上し小阿賀野川満願寺樋門の魚道を
サケが飛び跳ねながら上り阿賀野川に出て上流の津川を目指す。
7日信濃川のサケ漁と小阿賀野川満願寺の魚道を見てきた。
・小阿賀野川満願寺樋門の魚道(新潟市秋葉区満願寺)
小阿賀野川は、越後平野の中央を貫流する信濃川と・阿賀野川の二大河川を結ぶ運河。
新潟市秋葉区満願寺から中野までを掘り割って能代川筋につなぎ、新潟市江南区酒屋で
信濃川に合流する延長10.8キロメートルの人工河川。
新聞に「運がよければ小阿賀野川満願寺樋門の魚道の段差を飛び越え阿賀野川を溯上
するサケの姿を見られるかも知れない」と。
運試しに小阿賀野川満願寺樋門に出かけた。
樋門は、3連で樋門の径間5m。
阿賀野川の水が樋門を通り小阿賀野川に流れ込む。
3連のうち左岸よりの水門が魚道になっており段差がある。
水門からは水が小滝のように流れ落ちる。
この小滝をサケが上るのだ。
待つこと30分、樋門下流の仕掛け網をくぐり抜けたサケが左岸の水辺に姿を見せた。
約10匹くらいはいる。
あわててデジカメのシャッターを切る。
再生すると水辺を泳ぐサケの姿が。
水門手前10mくらいまで近づくが流れに押し戻される。
サケたちは何回も何回も挑戦するが魚道を上りきれない。
地元の古老が「あのサケは元気がない。もう少し水流を調整しないと上れない。あいにく
今日は事務所(阿賀野川満願寺出張所)が休みだ。今日は無理かな・・・」。
約1時間粘ったがサケの魚道上りを見ることができなかった。
樋門の上には「立入禁止・密漁禁止」「阿賀野川河川事務所・信濃川漁業協同組合・
阿賀野川漁業協同組合」と書かれた立て看板が立っている。
・信濃川漁業協同組合のサケ漁(新潟市舞潟:信濃川漁業協同組合)
信濃川河口付近の新潟市舞潟に信濃川漁業協同組合の鮭採卵ふ化施設がある。
施設入り口にサケの絵が描かれた大きな看板が立つ。
看板には、「サケは新潟県では古くから親しまれ、人々の生活に溶け込んできた
重要な魚です。・・・」信濃川漁業協同組合と書かれている。
建物入り口左側に昭和60年9月1日建之の「鮭の供養塔」がある。
事務所で話を聞いた。
今年は豊漁で昨年の倍以上の水揚げがあり、サイズも4キロから5キロと大きめだと。
・漁期は、10月20日から11月25日
・魚場は、信濃川の昭和橋から上流酒屋小学校までの7箇所
・漁獲量は、毎日100匹から200匹
採取したサケは、生育度により選別され15個あるイケスの中に分けて入れられる。
選別作業は3人で行う。
オスメスを見分け選定者に見せる係り、サケを選定する係り、選定漏れのサケを棒で
タタク係り。
サケの運命も選定者の一声で決まる。
「色男」と「タタク」。
係りが「オス」、選定者が「色男」。
「色男」と言われたサケは、係りがイケスヘ。
「オス」「タタク」。
「タタク」と言われたサケは、棒でたたかれ天国ヘ。
・番外:十日町市の信濃川のサケ溯上は例年の3倍
10月28日発表した国土省信濃川河川事務所の調査によると、JR東日本信濃川発電所
水利権が取り消されている十日町市の信濃川のサケとアユの溯上は例年の3倍以上の
150匹(近年は10から30匹)に上っている。
信濃川を遡上したサケが遠く十日町市や満願寺樋門魚道を上ったサケが津川町まで遡上
する。
魚道上りに何回も何回も挑戦するサケの姿を見ていて「小野道風と蛙」の話を思う出した。
ある雨の日散歩に出かけた小野道風が、柳に蛙が飛びつこうと、何度も挑戦している様を
見て蛙はバカだ。いくら飛んでも柳に飛びつけるわけないのに」とバカにしていた時、
偶然にも強い風が吹きだし、柳がしなり、見事に飛び移れた。
これを見た道風は「バカは自分だ。蛙は一生懸命努力をして偶然を自分のものとしたのに、
自分はそれほどの努力をしていない」と目が覚めるような思いをして、血を滲むほどの努力
をするきっかけになったという。
いつか満願寺樋門の魚道を上るサケの姿を見て見たい。
満願寺樋門の魚道を見つめる (イラストを模写)