カラスと反哺の孝

kanazu362007-05-28

俗語の一節に「権兵衛が種蒔きゃ烏がほじくる」がある。
農夫が種をまくとすぐに烏がほじくり出すという意で、
人が骨を折ってしたことを他の者があとからぶちこわして
いくこと。
カラスが、ゴミステーション近くの電線にとまり様子をうかがっている。
人がゴミを出すのを待ち、人がいなくなるとゴミ袋を破りエサをあさる。
まさにカラスは「おやじがゴミ出しゃ袋を破る」だ。
探鳥会で、ハシボソガラスハシブトガラスの見分け方を習った。
見分け方は、オデコの大きさと鳴き声とくちばしだ。
ハシボソガラスは、オデコが小さく鳴き声はガアー・ガアーと濁った声で鳴き
くちばしはほっそりしている。
ハシブトガラスは、オデコが大きく鳴き声はカアー・カアーと澄んだ声で鳴き
くちばしは太く大きい。
どちらも市街地や海岸等で見られる身近な鳥で、いたずら好きで生ゴミなどを
あさるため、人に嫌われことが多い。
ゴミステーションのゴミ袋を破りゴミを散らかし悪さをするカラスは、ハシブトガラス
だった。
慶大グループの渡辺茂教授や伊澤栄一准教授らは、カラスの「脳地図」を世界で初めて
作成し、分析した成果をインターネットで公開した。
それによると、都市部でよく見掛けるハシブトガラスの大脳で知的活動をつかさどる
領域は、哺乳類のニホンザル並みに大きいことが分かった。
脳の体重に占める比率「脳化指数」(ヒト=10.0)は、カラスは2.1と、サルの2.0を
上回ると。
昔からカラスの鳴き声は、不吉だといって嫌がられた。
鳴き声が悪いと「死人があるぞ」といわれそのとおり死人が出る。
昔、母から「今日は、カラスの鳴き声が悪いか気をつろ」といわれた記憶がある。
イソップ物語や日本の昔話にもカラスが出てくる。
いつも嫌われ役である。
イソップ物語では、「着飾ったカラス」「カラスとキツネ」「まねこきカラス」
日本の昔話では「フクロウの染物屋」等など。
そんなカラスにも、現在の高齢社会に範となることわざがあった。
「鳩に三枝の礼あり、烏に反哺の孝あり」と。
人間は、礼儀と孝行を重んじなければならないという教え。
鳩は親がとまっている枝より三枝下にとまり、烏は自分がひなのときに養われた
恩返しに、年とった親の口にえさを含ませてやることから。
反哺は、食物を口移しに食べさせること。
親が子を虐待し殺す、子が親をいじめ殺すという殺伐とした時代だ。
「三枝の礼」や「反哺の孝」を鳩や烏から学び、親と子が信頼できる絆を
築いて欲しいものだ。
子に「三枝の礼」と「反哺の孝」を教える (イラストを模写)