タモギの小枝につくイボタロウムシ

kanazu362007-09-15

9月9日の新聞に庭師小林益夫さんは、
「打ち出の小槌虫」としてイボタロウムシを
紹介している。
イボタロウムシは、この時期タモギにびっしりとつき
小枝を白く覆う。
タモギは、昔から稲を乾す「はさ木」として使われ、田圃のあぜ道でどこでも見られた。
イボタロウムシはカイガラムシの仲間で、木の樹液を吸う。
しかし、臙脂(えんじ)は友禅染の染料になり、分泌物はイボタ蝋(ろう)となる。
子どもたちは、イボタロウムシを集めこれを売って小銭稼ぎをした。
昔は、イボタロウムシは小銭稼ぎができる打ち出の小槌虫だったと。
「百聞は一見に如かず」ということわざがある。
13日、新聞に紹介されている写真現場の旧白根市東笠巻に出かけた。
田圃を見渡すが、はさ木はどこにも見当たらない。
近くのJA新潟みらい大郷支所で聞いた。
職員は、「昔はどこの田圃にもはさ木はありました。私も子どものころイボタロウムシを
捕まえ大野の町に売りに行きました」。
「機械で稲刈りをする時代になり、もうはさ木のある家はないでしょう」。
「この写真は、どこで撮影したのだろうか」。
近くにいた農家の人が、「俺の家の庭にまだタモギは10本くらいある。アメシロが
たかる木なので薬をまく。薬の影響か最近イボタロウムシは見たことがない」。
案内され、東笠巻の豊外(とよほか)幸次宅の庭に行った。
「このタモギは、隣との境界林として植えられ、昔は稲も乾したことがある」。
タモギを一本一本調べたが、残念ながらイボタロウムシがつき白く覆われた小枝を
見つけることはできなかった。
全国的に有名な旧岩室村夏井の「はさ木」の木を調べることにした。
・夏井のはさ木
 日本一の米どころ越後平野を古くから特徴づけてきた「はさ木」。
 かっては刈り取った黄金の稲を身にまといながらあぜ道の両側に金屏風を並べ
 立てた様な光景を見せていました。
 農業の機械化・近代化が進んだ今「はさ木」はその役目を終えようとしています。
 しかし、時としてはさ木は、私たちに雪や雲や霧といった四季の移ろいの中で
 輝きを見せてくれます。
 はさ木と平野を醸し出す美しい情景を、すこしでも後世に残せていけたらと思います。
 平成元年8月 岩室温泉観光協会
 ・学名 トネリコ(モクセイ科) 別名 サトトネリコ、タモ
 ・俗名 タモギ、ハザギ(稲架木) ・保存本数 約600本
 ・別途 刈り取った稲をはさ木にかけて乾した
 600本のはさ木を調べることにした。
 あぜ道を歩きながらタモギを一本一本調べた。
 7本目でイボタロウムシがびっしりとつき白くなっている小枝を見つけた。
 興奮した。
 すぐデジカメのシャッターを切った。
 約150本位の木を調べ、4本のイボタロウムシのついたタモギを見つけた。
 新聞の写真と同じ光景である。
稲刈りの終わった田圃で作業をする人がいる。
9月17日の「はさ木祭り」の会場作りである。
はさ木の2箇所に荒縄が張られ、刈り取った稲を乾す場所の準備も進んでいる。
新発田から来たカメラマンは、「少し遅すぎた。稲刈りが始まる前に来るべきだった。
いいアングルの場所に稲がない」と。
カイガラムシならわが家の庭の木にも沢山ついていると妻が言う。
庭の木を調べた。
月桂樹の枝に5ミリくらいの白いかたまりがついているのを発見した。
カイガラムシの卵だ。
枝から取りつぶしてみた。
中にオレンジ色のしたものがあった。
イボタロウムシの臙脂の色はまだ見たことがない。
タモギにつくイボタロウムシとわが家の庭の月桂樹についているカイガラムシは、
種類が違うのだろう。
庭のカイガラムシが大きくなったらもう一度取って調べてみよう。

興奮見つけたイボタロウムシを (イラストを模写)