思いやりや夢を与える言葉と親の欲言葉

kanazu362008-02-10

先月新潟日報主催の「ことばの学校終了式」が
行なわれ、作家の藤沢周芥川賞受賞)さんが講演した。
講演内容「ことばの夢」を新聞で読んだ。
「私は子どものころ国語が苦手で、ことばの面白さに
気が付いたのは高校卒業と遅かった。
そのときイメージしたのは、言葉が生まれるということは新しい世界を獲得するという
ことだった。「認識」は言葉を通してしかできないのだ。
たとえば雪を示す言葉なら、東京の人は粉雪やぼたん雪、みぞれ程度だが、新潟の人で
あれば淡雪、綿雪、ささめ雪、風花など十種類も二十種類も持っている」と。
新潟大学名誉教授の大橋勝男(69)さんは、「新潟県雪ことば辞典」で収録された言葉は
2400語以上で、雪のまつわる語彙(ごい)の豊富さに感銘を受けたと。
・思いやりや夢を与える言葉
 講演を聴いた大学生高橋祐子(22)さんのすばらしい投稿を読んだ。
 「『氷が解けたら何になるか・・・』多くの子どもは「水」と書くでしょう。
 担任の先生はその答えをバツにしました。
 藤沢さんは『それはすばらしい一つの詩になっているよ、と先生が夢を与える言葉を
 言ってあげたら、その子はグーンと伸びるのに・・・』」。
 私も「春」という答えは想像していなかったと。
 終了式パネル討論で高橋なんぐ(新潟お笑い集団NAMARA)さんは、「絵を描くのが
 遅い子どもがいたら、『とろとろしている』のではなく『君は誰よりも丁寧に描いているね』
 と思いやりの声をかける。
 自分も何かしてもらったときは『すみません』と言ってしまうくせを
 『ありがとう』に変えたら喜ばれた。
 言葉も前向きな方を選ぶといいと思う」と。
・親の欲言葉
 親業シニアインストラクター関崎智弥さんは「子育ち・親育ち・子どもの失敗」の中で
 “ただ叱らず意識認めよう”と。
 「こんな芸ができるよ」とお母さんは、赤ちゃんに芸をさせ、周りのお母さんたちも、
 「すごーい」「おもしろい」とほめる。
 子どもの成長とともに喜びも忘れていくように感じます。
 小学校1年生が始めて習う足し算で「1+1ができても、すごーい」と感動して喜ぶ親は
 ほとんどいない。
 ・70点のテストを見て、「なんで六つも間違えるのよ。その上この字、下手くそで
  読めないよ。もっと丁寧に書きなさい。今日はゲーム禁止」と言われた子どもはがっかり。
 ・次は90点とったのに「どうして二つも間違えるのよ。こんな簡単な問題なのに。
  あんたは集中力ないのね。バカじゃない」と。
 ・今度は100点。今度こそはと見せたら「ほかの子もみんな100点でしょう」と。
 一言「頑張ったね。次も頑張ってね」とほめてやっていたら・・・。
 やる気の無い子どもを育てるのは簡単です。
 子どもの失敗を叱れば良いのです。
 子どもは叱られるのが嫌いなので失敗したくないと思います。
 失敗したくないから「どうせやってもできないから」と行動を起こさなくなります。
 また「やっても認めてもらえないなら、しない方がいい」と行動を起こさなくなります。
 子どもにとって、失敗は大きな経験なのです。
 「失敗・OK!」
 行動を起こさなければ、新しいことに挑戦しなければ、できるようになることもない
 のですと。
友や教師や上司の思いやりと夢を与える一言が、その人の一生を大きく左右する。
・中学卒業時に恩師から贈られた一言は「本や新聞をもっと読み世間を知ること」
・昇任試験に落ち気落ちしているとき上司は「答はできている。もう少しきれいな字で
 書けば答案を最後まで読んでもらえる。字の練習も・・・」と励まされた
などなど。
恩師や上司の一言が、その後の人生に生かされている。
娘にテストの点数の「良い悪い」で文句を言った覚えはない。
娘が、結婚式の両親に贈るお礼の言葉の中で「お父さんは、テストの点数が悪くても
叱ることはありませんでした。
何時もこんなにいい点数をとったのかとほめ、次はカンバレルようにと励ましてくれました」と。
氷が解けたら何になるかの「春」の答えに、藤沢さんのように「それはすばらしい一つの詩に
なっているよ」とほめたなら、生徒の人生が変わり立派な詩人になっていたかも・・・。
とろとろしている子が「丁寧に描いているね」と思いやりのある言葉に励まされ頑張り、
芸術家になっただろうか。
6日、新潟市の動く市政教室で新潟県政記念館を見学した。
館長から「夢を与える言葉」の話を聞いた。
県議会旧記事堂の屋根瓦の改修工事で「文明開花」と落書きのある瓦が発見された。
明治16年(1883)越後の片田舎保田町(現阿賀野市安田町)の瓦職人も
「文明開化」という言葉を知っていたことに驚いた。
それよりも瓦職人の遊び心かそれとも誤字か、文明開化の「化」を「花」と書いた。
私は、誤字ではなく日本の文化が花のように次々と開くことを願い「化」を「花」に
書き換えたと解釈したい。
遊び心で「化」を「花」と書いた職人を絶賛したいと。
殺伐とする社会、他人にも子にも「思いやりや夢を与える言葉」を贈ろう。

親子で勉強 (イラストを模写)