安田瓦あれこれ

kanazu362008-06-12

イタリアの観光名所で、北部ピサにある「ピサの斜塔」。
斜めに傾き何時か倒れるのではないかと・・・
塔の傾斜を止める工事に当たったトリノ理工科大の
ジャミオルコウスキ教授はこのほど、工事の結果、
今後300年間は倒壊の危険性はないとの調査結果を発表した。
倒壊の危険のある角度まで傾斜が進んだため、1990年に観光客らの立ち入りを禁止し、
2001年まで倒壊防止工事が行われていた。
同教授は「塔は19世紀と同じ状態に戻った。今後、少なくとも300年は大丈夫だ」と
話した。
「安田瓦」で有名な新潟県阿賀野市安田、特産品の安田瓦をふんだんに使ったバス停が
完成したと新聞に。
6月10日、安田瓦造りのバス停を見てきた。
・安田瓦造りのバス停
 注目のはバス待合所は、阿賀野市の市バス庵地小路(丸三安田瓦工業所)バス停。
 待合所は安田瓦がふんだんに使われ安田瓦独特の銀色に輝く鉄色に覆われている。
 待合所に続く飾り塀の色は土色。
 飾り塀には安田名物の「だしの風」がデザインされ、床の模様は阿賀野川の流れが
 イメージされている。
 飾り塀の前の小さな庭には、大きな鬼の飾り瓦が2体置かれている。
 写真を撮っていると近くの老婆が「どこから来たかね」「新潟から。新聞に出ていたので
 見に来た」「ゆっくり見て行きな」と。 
・安田瓦職人と新潟県政記念館の安田瓦
 2月6日、新潟市の動く市政教室で新潟県政記念館を見学した。
 その時、館長から安田瓦職人の面白い話を聞いた。
 県議会旧記事堂の屋根瓦の改修工事で「文明開花」と落書きのある瓦(安田瓦)が
 発見された。
 明治16年(1883)越後の片田舎保田町(現阿賀野市安田町)の瓦職人も
 「文明開化」という言葉を知っていたことに驚いた。
 それよりも瓦職人の遊び心かそれとも誤字か、文明開化の「化」を「花」と書いた。
 私は、誤字ではなく日本の文化が花のように次々と開くことを願い「化」を「花」に
 書き換えたと解釈したい。
 遊び心で「化」を「花」と書いた職人を絶賛したいと。
 落書きのある瓦は、新潟県政記念館の資料室に展示されている。
・わが家の屋根は安田瓦
 日本の三大瓦産地といえば「石州瓦(島根)」「三州瓦(愛知)」「淡路瓦(兵庫)」。
 新潟県にも有名な安田瓦(旧安田町)がある。
 わが家の屋根は安田瓦である。
 大工さんに、少し高いがセメント瓦や塗り瓦よりも半永久といわれる安田瓦を勧められ
 安田瓦にした。
 インターネットで瓦の種類を調べた。
・いぶし瓦
 陶器瓦と同様粘土瓦の一種ですが、陶器瓦と焼成方法(焼き方)が違い、粘土を瓦の形に
 かたどったあと、何もかけずに窯の中に入れて焼き、そのあと“むし焼き”(燻化工程)に
 して瓦の表面に炭素膜を形成させ、瓦全体(裏も表も)が渋い銀色をした瓦ができあがる。
 陶器瓦と同様形は様々で、J形、F形、S形等があり、特にJ形が多く本葺き瓦
 (J形の前身)も多く使われている。
 日本建築のお城や社寺の屋根に多く使われ、深い味わいを醸し出す。
 ただ、表面の炭素膜が年月の経過と共に剥がれ落ち、変色していく。
 また、水が浸透しやすく塩分を含んだ水(海水等)による塩害、寒さによる凍害等が起きる
 ことがある。
・陶器瓦
 陶器瓦を釉薬瓦ともいい、粘土瓦の一種。
 粘土を瓦の形にかたどったものの上に釉薬(うわ薬)をかけて、窯の中に入れて高温で
 焼き上げた瓦。
 瓦表面の釉薬がガラス質になっているため、水が浸透せず、長い年月を経ても美しい
 状態を保て、メンテナンスの必要がない。
・セメント瓦
 厚型スレートまたは、コンクリート瓦とも言われ、その名の通りセメントと砂を主原料と
 したもので、表面処理(塗装)する。
 以前は和形の生産が多かったのですが、いまは洋形(F形やS形等)が増えている。
 塗料で着色するので、どんな色にもすることが出来、家の形や壁の色に合わせて変える
 ことが出来る。
 ただ、経年により変色、脱色がおき、数年ごとにメンテナンス(塗装)が必要。
 わが家の屋根瓦は、いぶし瓦か。
京都などの街では、建築後数百年を経た今でも社寺などの瓦屋根の建築物が昔のままの
姿で現存し観光客を魅了する。
瓦の寿命は半永久ともいわれる。
ピサの塔は19世紀と同じ状態に戻り、今後、少なくとも300年は大丈夫だといわれる。
庵地小路バス停は、半永久的な安田瓦や規定外の安田瓦と大きな飾り鬼瓦を組み
合わせて造られた。
安田瓦造りのバス停は、ピサの斜塔に負けない安田町の新名所建物として人々の人気を
集めることだろう。

新名所安田瓦造りのバス停 (イラストを模写)