平仮名とふり仮名の砂山の詩碑
NHK紅白歌合戦に連続30回出場の新潟市観光大使の
小林幸子さんが11月27日来県、新潟市の篠田昭市長との
会見の席で、注目の紅白歌合戦の豪華衣装について、
今年は「日本海の砂浜をイメージしたものになる」と。
11月21日、新潟市中央区役所主催の文人石碑めぐりで新潟市の護国神社境内の
松林の中にある北原春白の「砂山」の詩碑を見た。
解説者の若月忠信(敬和学園大学客員教授)さんは、詩碑は「平仮名とふり仮名」
で書かれていると。
最近、麻生太郎総理の誤読や失言が新聞テレビで話題になっている。
未曾有(みぞう−みぞうゆう) ・踏襲(とうしゅう−ふしゅう)
頻繁(ひんぱん−はんざつ) ・詳細(しょうさい−ようさい)
「たらたら飲んで、食べて何もしない人の医療費をなぜ私が払うんだ」
などなど。
・北原白秋の「砂山」
北原白秋が大正12年(1923)6月、新潟での童謡音楽界で小学生の前で講演、
新潟の童謡を作ることを約束した。
会が終わり、先生たちと砂浜に出かけ、荒海に浮かんだ佐渡島、暗い荒磯づたいに
家路を急ぐ子供たちの様子を見て詩想をねったのだという。
雑誌「小学女生」9月号で中山晋平の作曲譜とともに発表。
昭和2年(1927)になって今度は山田耕筰が符曲。
・平仮名とふり仮名の北原白秋「砂山詩碑」(護国神社境内・昭和36年6月建碑)
護国神社境内の松林の一角に「砂山」の詩碑が建っている。
原文は
1 海は荒海 向こうは佐渡よ
すずめ鳴け鳴け もう日は暮れた
みんな呼べ呼べ お星様出たぞ
2 暮れりゃ砂山 潮鳴りばかり
すずめ散り散り また風荒れる
みんな散り散り もう誰も見えぬ
3 帰ろ帰ろよ ぐみ原分けて
すずめさよなら さよならあした
海よさよなら さよならあした
解説者の若月忠信さんが詩を朗読しながら、詩碑建立のエピソードを話した。
詩碑にはすべて「平仮名」で書かれ、名前は漢字だが脇に「ふり仮名」がふられている。
これは、この場所が小学生の遠足コースになっていたので、小学生でも読めるようにと
あえて詩を平仮名にし名前にふり仮名つけた。
詩に中山晋平と山田耕作の二人が曲を付着けている。
若月さんは四季にも色があると。
中国では人生を、春・夏・秋・冬に分けて表現するという。
・春は青春と言われ「青」日本で云うところの成人前の時期を示す
・夏は朱夏と言われ「赤」社会人として自立している時代
・秋は白秋と言われ「白」現役を引き、これまでの苦労が実る時期をいう
・冬は玄冬と言われ「黒」人生最後の時期で、他人の手を必要としなければ生きていけなく
なる時(この「玄」は黒の意味をもつ)
北原白秋の白秋とは、ここからつけたのだろうか。
誤読が話題になる時代。
砂山の詩をすべて「平仮名」にして小学生にも読めるようにした建立者に先見の明が。
詩碑建立のエピソードを聞く (イラストを模写)