由緒ある松と杉めぐり

kanazu362009-03-12

岩室村に「お杉お松の伊勢詣り」という物語がある。
杉と松の話に魅せられ3月8日由緒ある松と杉めぐりに
出かけた。
・塔婆木の松(旧巻町福井)
 旧巻町福井にある遍照寺(へんしょうじ)開祖の塔婆(卒塔婆)として植えられたと伝わる
 「塔婆木の松」が枯れて切り倒されため、檀家有志らがこのほど「二代目」の松を植樹
 した。
 檀家や地元住民の話によると、寛文元年(1661)10月に遍照寺を開基した
 神力院日通大徳僧が「寺を見守ることのできる場所に葬ってほしい」と遺言をして
 寛文10年(1970)2月7日に死去した。
 先代の松は黒松で、樹高約16m・幹周りは約5mに成長。
 1974年巻町の天然記念物に指定されたが、松くい虫の被害などで枯れたしまった。
 二代目の黒松は、約30mの山道を登ったところに植えられすぐ近くに先代の
 黒松の切り株が柵に囲まれ保存されている。
 寺は、福寿温泉じょんのび館の隣にあり山門には「智性山」「遍照寺」の門柱が建つ。
八百比丘尼の松(旧寺泊町野積)
 野積のお宿「まつや」前の公園に「寺泊二里」の道標が建つ。
 宿の庭には、老松が三本あり、脇に「八百比丘尼の松」の説明が書かれている。
 昔、野積に生まれた漁師の一人娘が、父親が弥彦の神様から授かった食べ物を食べた
 ところ、娘の容姿は何年、何十年経っても変わらず、いつまでも若く美しいままでいる
 ことができました。
 しかし、何百年も年をとらない娘は、何度か嫁にいっては夫に先立たれる運命を
 背負ったため、ついにこの地に居たたまれなくなり、剃髪し尼さんになって、
 諸国修行の旅を続け、最後は若狭国福井県)の空印寺で修行を重ねることにより入寂
 したといわれます。
 このいつまでも若々しいく年をとらない尼さんを、人々は八百比丘尼と名付け、
 生家を出るときに、家の前に植えた松を「八百比丘尼の松」と呼んでいますと。
・弥平のなげし松(旧寺泊町野積)
 野積の河合さんの屋敷に弥平のなげし松がある。
 野積観光会が昭和59年4月に立てた掲示板には、当家の先祖、河合弥平氏越中の国
 の薬商人で、文明2年、船で薬売りのため行商としてこの地に渡り、移住した折、
 部落繁栄の願いを込めて植えた庭松。
 樹齢約500年、現在の長さ50mで長松としては県下随一。
 昔より西生寺お参りのいっふく場として、別名「弘智法師“道しるべの松”」
 ともいわれる。 
 家の人は、根元が「へ」の字に曲がっていることから「なげし」と呼ばれるように
 なったのではと。
・石瀬の一本杉とお杉とお松の伊勢詣り(旧岩室村石瀬)
 ・石瀬の一本杉
  県道新潟寺泊線のお杉橋の近くに一本杉の大木がある。
  大杉の脇の看板には
  伝説「お杉とお松の伊勢参り」のお話は、江戸時代の前期にこの杉と東へ100mほどの
  ところにあった松(明治6年に枯死)の精が娘に化身して伊勢参りをしたというものです。
  このお話は江戸時代の中頃、伊勢参りを盛んにしたいと目論む、伊勢の御師によって
  創られたものでしょう・・・。
  県内では三川の将軍杉、弥彦の婆杉など樹齢が1000年を超える古木の杉があります
  が、ずれも山地の中で樹木に囲まれています。
  一本杉は平地にあり、周りに高い樹木もなく、冬の強風にも耐えてきました。
  新潟市内の杉の樹木としては、幹周りが一番太く、樹齢も700年を超えると推定され、
  新潟市文化財(天然記念物)に指定されている。
  と書かれている。
 ・お杉とお松の伊勢詣り(旧岩室村石瀬)
  「お杉橋」の欄干には「お杉お松の伊勢詣り」のプレートがはめ込まれていた。
  プレートには、「岩室村石瀬の村はずれに一本の老杉があった。
  またこれと相対して、田圃の中に小高い小丘があり、一本の松が生えている。
  時は天和年間の物語である」と。
  昔、越後国蒲原郡石瀬村のお杉、お松姉妹という二人の美しい娘が伊勢参りに出かけ、
  宇治の門前宿に泊まりました。出立の朝、姉妹は顔を赤くして恥じらいながら、宿の
  主人にこう願いました。 「まことにすみませんが、実はお金が足りません。
  いつかご主人様が所用で越後へみえた時、きっとお返しいたしますので、どうか宿料を
  待っていただけますか。」 主人は姉妹がいじらしかったので、快くこの申し出に応じ
  ました。
  その翌年、主人に思いがけず越後への用ができ、偶然石瀬村を通りかかりました。
  そこでふと、伊勢参りにきた姉妹を思い出して懐かしくなり、訪ねてみたくなりました。
  ところが、村人に尋ねてみても、誰も姉妹に心あたりがありません。主人はやむなく
  村を通り過ぎ、村はずれの老松の根元に腰を下ろし休みをとりました。
  そして、ふと目を上げた時です。松の枝に緡(昔の貨幣の穴に通して貨幣をつないだ
  細い縄)にさした二百文がぶらさがっているではありませんか。不思議に思って
  辺りを見回すと、山手の方には一本の老杉が立っています。主人は、姉妹が語っていた
  「田中屋のお婆さんが作るおいしいだんご」の話を思い出し、 茶屋を訪れました。
  そこで今までの不思議な出来事を話すと、お婆さんは大層驚いてこう言いました。
  「その姉妹は、きっと老杉と老松の樹の精に違いない。木から抜け出して、伊勢参り
  行ったのではないかね。」樹の精の姉妹の信仰心に感激した主人は、帰り道、老杉と
  老松を振り返り振り返りしながら、石瀬村を後にしたという。 
・番外:遍照寺の銅造観音菩薩立像が新潟県文化財に答申
 新潟県文化財保護審議会は、3月10日、遍照寺の「銅造観音菩薩立像」などを、県の
 文化財文化財に指定するよう答申した。
 3月末には正式に決定される予定。
旧巻町天然記念物「塔婆木の松」2代目植樹の記事に魅せられ由緒ある松と杉めぐりで
遠い昔を偲んだ。

この杉の大木が (イラストを模写)