語り部に聞く昔話とおてて絵本の世界

kanazu362009-03-23

彼岸の中日の20日、地方紙新潟日報の「日報抄」に
仏さまに供えるおはぎは、粒あんがいいか、こしあんがいいか、
好みも人それぞれ。
諸説あるが、おはぎを、春は「牡丹(ぼたん)餅」と称し、
秋に「お萩(はぎ)」と呼ぶのは風流だと。
新潟市沢海の北方文化博物館で開催された昔話で彼岸のお中日に「彼岸」の話を聞いた。
嫁と婆が「ひがんだ」「ひ−がんだ」と言い争う。
3月20日「笠原甚威の昔話」を昔話語り部愛好会の人たちが語る昔話8話を聞いた。
・昔話語り部愛好会のむかし話語り(新潟市沢海北方文化博物館・3月20日)
 チラシには、むかーしむかしより伝わる「おっかねぇ話」「おもしろぇ話」「泣ける話」
 「ためになる話」・・・と。
 会場となった北方文化博物館の屋根裏ギャラリーで7人の語り部が昔話8話を話した。
 ・語り部笠原甚威
  語り部の笠原甚威さんは昭和9年生まれの75歳。
  旧横越村木津の旧家に生まれ、祖母や母から寝物語にたくさんの昔話を聞かされ今でも
  忘れずに覚えている。
  その数は100話以上にもなる。
  新潟市横越地区で活動する「横越昔話語り部愛好会」の人たちが笠原さんから聞き
  取っ話の中から85話を昔話集「笠原甚威 いちがぶらーとさがった」として平成20年
  10月に発刊、本の挿絵は泉澤宏一さんが描いた。
 ・「彼岸」(笠原甚威の昔話から)
  嫁と婆が「彼岸」のことで「ひがんだ」「ひ−がんだ」と言い争った。
  それで二人は、和尚さんに判断を仰ぐことにした。
  嫁と婆がそれぞれお寺の和尚にこっそりと貢物をして「彼岸を“ひがん”と言ってほしい」
  「彼岸を“ひーがん”と言ってほしい」と頼む。
  当日、婆が和尚に「ひ−がんだよね」と聞くと「そうだ」。
  嫁が和尚に「ひがんだよね」と聞くと「そうだ」。
  嫁と婆がどちらが正しいのかとさらに尋ねると和尚は、春は日が長いから「ひ−がん」、
  秋は日が短いから「ひがん」だと。
  それ以後、嫁と婆は、けんかする事もなく仲良く暮らしたと。
  いちがぶらーんとさがった。
  会員が次々と登場「漁師とその妻」「おれが見たらボタになれ」「金魚と炭とザル」
  「笠木の豆腐屋」「天狗の隠れミノ」「カラスとタニシ」「額(ひたい)」。
  「金魚と炭とザル」の話も面白かった。
  金魚と炭とザルが3人で風呂屋に出かけた。
  帰りに銭を催促されると。
  金魚は、おらは近所のもんだすけ。
  炭は、おらは風呂の隅っこに入っただけだすけ。
  ザルは、おらは風呂にざぶんと入っただけだすけ。
  と言って銭を払わなかったと。
 会場から笑いが、昔話にそれぞれユーモアがある。
・おてて絵本(手のひらから生まれる夢と想像の世界)
 おてて絵本とは、開いた手のひらを絵本に見立てて、子どもが空想で物語を作ること。
 新潟市西区の絵本作家サトシン(本名・佐藤伸:47)が提唱した。
 おてて絵本は、15年ほど前、サトシンさんが「専業主夫」をしながら自宅でコピーライター
 をしていたとき、3歳だった長女が自分で作ったお話を語りだしたことがきっかけで
 生まれた。
 子どもの話に、親が「それで?」「次は」などと合いの手を入れることで、物語の世界が
 広がっていく。
 今では保育園や小学校の国語授業などでも採用され、手のひらを絵本に見立てて親子で
 「お話ごっこ」の遊びの世界の楽しみが広がる。
 手のひらを絵本に見立てる「おてて絵本入門書」も出版されるほどの人気。
語り部の語る昔話の一話一話が、聞く人の心に響き心に残る。
おてて絵本で作る物語が、子どもたちを夢と想像の世界へ導く。
聞く喜びと作る喜びが・・・ 

おてて開いて「それで」「次は」・・・ (イラストを模写)