休耕田を生かす

kanazu362009-07-13

7月5日、越後の森作業体験バスツアーで旧上川村
「たきがしら湿原」を散策した。
阿賀町上川支所の職員から、たきがしら湿原は休耕地を
再利用して人工的に作られた湿原であることを知らされた。
これまでに休耕地を利用し特産品作りに取り組む人たちの話題が新聞・テレビで
報じられていたので現地を訪れ話を聞いた。
・たきがしら湿原(旧上川村滝首集落:7月5日)
 たきがしら湿原は、耕作放棄地を再利用する目的で人工的に作られた湿原で、
 たいへん珍しく全国でも数例しかない湿原。
 現在のたきがしら湿原の地域には、かって「滝首(たきがしら)」という小さな
 集落があり5戸が暮らしていた。
 しかし、後継者がいなくなったことから昭和51年(1976)に上川村の九島へ
 集団移転した。
 そのとき残された水田にはいつしか3mを越すカヤやヨシが生い茂り荒地となった。
 上川村では、このカヤやヨシの密生地とそこを流れる小川や周囲の森林を利用整備し
 湿原として造成した。
 湿原には水生・湿生植物、水生昆虫、野生動物、鳥類などが生息する貴重な場所となり、
 現在では、在来種と植栽された植物を合わせると70以上の種類が湿原の四季を彩る。
 ニッコウキスゲの黄色い花が咲きヒオウギアヤメやヒメサユリの花などが咲く。
 池では2組のカルガモの家族が元気に泳いでいた。
 近くには「ふれあいの森」がありバンガローもありキャンプもできる。
ラズベリー白根市堀掛:7月7日)
 新潟市秋葉区の園芸農家の斉藤亮一(62)さんは10数年前から観賞用のラズべリー
 を栽培し出荷していた。
 今回仲間4人と新潟市南区堀掛の休耕田約1ヘクタールを借り「食用ラズべリー」の
 栽培に乗り出し新潟の特産にしょうと頑張っている。
 植えられているラズべリーは、赤い実を付けるインディアンサマー・黄色い実を付ける
 ファールゴールド・黒い実を付けるブラックラズべリーの3種。
 1株から初夏と晩秋の2回収穫ができる。
 今年は全体で約5トンの収穫量を目指す。
 将来は法人化し加工も手掛けたいと。
・ブルーベリー(旧笹神村山倉新田:2008年7月31)
 旧笹神村山倉新田(現阿賀野市)は1998年の「8・4水害」で折居川が氾濫し大きな
 被害を受けた。  
 折居川近くに住む山倉新田の清水友行(58)は、折居川改修工事の掘削土の仮置き場 
 に水田を提供した。
 米の生産調整で減反が続き仮置き場に提供した水田を畑として生かすことを決め、当時
 関心が高まりつつあった健康食品に着目し、ブルーベリー栽培を思いついた。
 清水さんは、2006年近郷の農家ら10人とともに「阿賀野市ブルーベリー協会」を結成し、
 今では会員は21人、作付け面積も2万5千平方メートルにまで増えました。
 自宅近くの畑を見学した。
 「ここは私個人の畑で約800本のブルーベリーの木を植えています。
 阿賀野市ブルーベリー協会の畑は、旧笹神村村杉温泉の阿賀野市が管理する
 「うららの森」の裏手にあります。
 土地は9千平方メートルあり昨年8月から1800本植えました。
エゴマ油(旧笹神村沢口:2008年7月18)
 旧笹神村沢口(現阿賀野市)の休耕田を活用しエゴマを栽培しエゴマ油を生産する人が
 いる。
 にいがたエゴマの会事務局長の高澤幸雄さんだ。
 定年後の2000年ころNPO法人を立ち上げ聖籠町の休耕田を活用し、アマランチス・
 エゴマ・ヤーコン・ソバ・豆などの農産物を試験的に栽培し最後にエゴマに到達した。
 エゴマはシソ科の1年草で、葉や種が食用になり搾るとエゴマ油が取れる。
 2005年エゴマの会を設立しエゴマの搾油機を購入、2007年旧笹神村沢口に
 エゴマ搾油所のパームカルチャーを設立した。
 2008年6月20日にエゴマ搾油の営業許可が下り本格的なエゴマ油の生産と販売を
 スタートした。
 エゴマ油は阿賀野市の観光施設や新潟市などで販売している。
・ナツメ(白根市西笠巻新田:2007年10月18日)
 旧白根市西笠巻新田の渡辺建次(58)さんはナツメ栽培を3年前から始めた。
 中国から苗木を取り寄せ1町2反のブドウ畑に苗木を植えた。
 2年目から収穫できたが、本格的な収穫は今年が初めてである。
 背丈は約2m、たわわに実った褐色に色づいたナツメは手を伸ばすと収穫できる。
 実の堅さはリンゴに似ている。
 糖度は30%もあり、中国では漢方薬の原料に用いられる。
 来年は、隣のブドウ畑もナツメ畑に変えると。
・休耕地を湿地に再生する取り組み(新潟市丸潟新田:2008年7月18日)
 新潟大学が、新潟県内の5カ所で休耕田に水を張って湿地に再生していると知り
 新潟市丸潟新田の「再生湿地」を訪れた。
 再生湿地は丸潟新田交差点付近にあった。 
 休耕田の土地約3000平方メートルの提供している農家の人は、ここは20年以上も
 休耕田だったと。
 「丸潟新田再生湿地」と書かれた看板が2本立っている。
 再生湿地には、水深約20センチの水が張られ木道もある。
 ヨシが茂り、カエルは泳ぎ、トンボが舞い水辺ではサギや青サギが羽を休めている。
新潟県内の各地で休耕田を生かす取り組みが進められている。
今度はどんな農作物が栽培されるか。

あの休耕田に何を (イラストを模写)