田植えと道具

kanazu362010-05-15

ここ数日寒気の流れ込みで3月下旬から4月上旬並みの
寒い日が続き、湯沢町三俣のかぐらスキー場では15から
20センチの降雪があった。
今年新潟県で最も早い田植えは、4月20日の柏崎市藤井。
ゴールデンウイークの期間中、越後平野は田植え機のエンジンの音が鳴り響き田植えが
真っ盛りであった。
6日新潟市西区の笠木小学校の児童が手で苗を植える姿がテレビで放送され、田圃の端
には懐かしい「コロ」が映し出された。
興味があり9日、新潟市西区亀貝の農家石渡勝春(71)さん宅などを訪ね田植え道具の
いろいろを調べた。
・田植えの道具
 ・田植え格子
  ふるさと上越市高田地方では、昔から田植え格子で田圃に同じ間隔で線を引き格子の
  交線部に苗を植えていた。
  写真高田風土記(稲荷弘信著)に「田植え格子」が紹介されている。
  新潟県では明治39年から正条植えを積極的にすすめた。
  春日村(現上越市)藤新田の大工邨田清治さんが、障子からヒントをえて明治42年
  格子形の定規をつくって正条植えをたやすくし、上越地方に正条植えを発展させる
  端緒をつくった。
  大工邨田清治さんの頌徳碑が藤新田の富士神社に建てられている。
  子どものころ母の実家の天井裏に田植え格子が保管されているのを見たことがある。
 ・コロ(田植えをするための印をつける器具)
  昭和43年上越から下越の水原町に転勤となり始めて田植えに「コロ」という道具を
  使うことを知った。
  20cmくらいの格子が連続して六角形の筒状六角形になっている。
  田んぼの上を転がすと同間隔で格子の線が引ける。
  あとは格子の目印の交線部に苗を植える。
  昭和40年代、柏崎の妻の実家にコロがあった。
  コロは前向きに転がすのではなく後ろ向きのなって転がすのだと教えられたのが今でも
  記憶に残る。
 ・三角定規と呼ばれる農具
  三角定規と呼ばれる農具を使い5・6人が1列に並んで田植えをする。
  三角定規の目印の所に苗を植え、回転させていくやり方で稲を植えて、後ろ向きで
  進んで行く。
  しかし、まだあまり田植えがうまくない若い人などは、苗を植え終わらないうちに
  三角定規が転がってくることもあり、追いつくのに必死だったと懐かしそうに語る。
・田植え機
 田植機とは、イネの苗を水田に移植する農業機械。
 現在日本で一般的に使われている田植機は、植え付け爪によって苗を挟み持ち、土に
 挿し込むタイプのも。
 田植機はエンジンと車輪を有し、前進するとともに後部に設けられた植え付けアームが
 動き、苗を植えてゆく。
 田植機の幅方向に通常は30センチ間隔(北海道では33センチ)で整列した複数8例えば
 2から10)の植え付け爪を持つ田植機は、一度に複数の条(列)の苗を植えることが
 できる。
 植え付け爪を持つ田植機は、マット苗を植えるものとポット苗を植えるものとに大別される。
・番外:手製ビンビラ
 近郷の亀貝地区でも昭和30年代ころまでは、コロや三角定規を使い田圃に線を引いて
 手で苗を植えをしていた。
 コロや三角定規をみようと近郷の農家を数軒訪ねたが、コロや三角定規はなかった。
 田植え機の普及で今はコロや三角定規を使って田植えをする人もなく道具もいつしか姿を
 消してしまった。
 小中学生の体験学習やイベントでは田植え機は使えない。
 そこで亀貝の農家石渡勝春さんは、子どもたちが学習田で簡単に田植えができるように
 組み立て式の手製ビンビラを作った。
 柄の長さは約2m、横幅が二間ほどで等間隔に竹べらがつけられている。
 ビンビラを縦に引き次に横に引いて田圃に格子の線を引く。
 あとは交線部に苗を植えるだけ。
今田植えは田植え機で行うのが主流。
近郷の農家でも「田植え格子」や「コロ」や「三角定規」の道具を使って田圃に目印をつけ
手植えする姿を見ることができない。
今は「コロ」を使って目印をつけ手植えで田植えをする姿は、小中学生の体験学習や
イベントでしか見ることができない。
昔懐かしい手植えの田植え姿は・・・。

児童が学校田に苗を手植え (イラストを模写)