雪さらしや天日干しや寒風干し
啓蟄(3月6日)も過ぎた。
越後の冬の風物詩として知られる、雪さらしと天日干しと寒風干し
が新聞に。
雪さらしや寒風干しなどは、里に春の訪れを告げる。
・雪さらし
・トウガラシの雪さらし(妙高市西条)
大寒の1月20日、妙高市西条で冬の風物詩「かんずり」の原料となるトウガラシの雪さらし作業が始まり雪原は真っ赤に染まる。
雪さらしは、塩漬けされたトウガラシのあくを抜き、繊維を軟らかくし甘みを出す作業。
4日ほどさらし、麹(こうじ)やユズを混ぜて発酵させ、3年寝かせて市特産の香辛料「かんずり」を作る。
・コウゾの雪さらし(長岡市小国地域)
2月23日、和紙の里として知られる長岡市小国地域で、原料となるコウゾの雪さらし作業が行われた。
2メートルもの雪に覆われた田に、幅5センチ、長さ90センチほどの地元で栽培したコウゾの皮を並べる。
雪が解ける時に発生するオゾンで、黄色みが抜け、白く美しくなり、殺菌効果も現れるという。
雪原に並べられたコウゾの皮が、日差しを浴び黄金色に輝く。
・越後上布の雪さらし(南南魚沼市)
「越後上布(じょうふ)」の雪さらしが、新潟県南魚沼市で行われている。
反物を雪の上に広げると、雪解けした水蒸気によって生じるオゾンの漂白作用で、染料の色が鮮やかになり、黄ばみが落ちる。
クリーニングで対応できないシミも取り除けるという。
・天日干し
・ミズダコ(新潟市西区五十嵐:新川漁港)
冬の風物詩新川漁港の名物ミズダコ漁が昨年12月から始まった。
新潟の国道402号線の五十嵐街道の往来橋付近には4カ所のミズダコの釜ゆで場がある。
獲ったタコを水洗いし、頭と足に切り分けてビニール紐で結ぶ。
ビニール紐で結んだタコを沸騰した大釜の中へ。
蓋を閉め沸騰した湯の中でミズダコを15分前後ゆでる。
蓋を取ると真っ白な湯気の中から赤紫色に染まったタコが姿を見せる。
ゆであがったミズダコをまた水洗いしては軒先に吊るす。
客は路上でタコのゆであがるのを待つ。
吊るされたミズダコは、あっという間に売り切れるほどの人気。
・すげがさの天日干し(糸魚川市西飛山地区)
糸魚川市の山あいにある西飛山地区で、すげがさの天日干し作業が始まった。
雪の上に編み上がったばかりのすげかさを並べ日に数日さらす。
日にさらすことですげの色が際立ち、かびの付着を防ぐ効果があるという。
すげがさはスゲの葉で編んだ笠で、日除けや雨具として昭和前期まで使用されていた。
すげがさ作りは、雪が降って外仕事がなくなる農閑期の副業として始まった。
同地区では終戦後の最盛期には、100軒ほどが作っていたが過疎化が進んで今では5軒に減った。
・ゲンギョの寒風干し(上越市名立区名立小泊)
単身赴任で糸魚川に4年勤務した。
休暇で糸魚川から新潟に帰る途中ゲンギョの寒風干しは何回も見た。
冬の味覚「ゲンギョ」のつるし干しが名立区名立小泊で始まっている。
名立漁港で水揚げされたばかりのものを1匹ずつくしに刺して縄につるす。
5日ほど寒風にさらすと水分が抜け、脂身と塩味が残りうまみが増す。
ゲンギョは、体長30センチほどの深海魚。
越後の山里や海で冬の風物詩の雪さらしや天日干しや寒風干しが始まった。
啓蟄も過ぎ、日に日に里にも春の足音が近づく。
懐かしいゲンギョの寒風干し (イラストを模写)