田んぼダムと休耕田「再生湿地」の   取組み

kanazu362011-06-14

北陸と東北地方はまだ梅雨入りはしたいない。
間もなく日本列島は雨の季節を迎える。
6月11日の地方紙新潟日報に、豪雨時に水を水田に一時的に
ためて洪水を防ぐ「田んぼダム」のことが大きく報道されていた。
6月13日、田んぼダムを見に見附市葛巻地区を訪ねた。
田んぼダム
 ・田んぼダムとは
  大雨のとき、田んぼに洪水を抑制するダムの役割を持たせようという取り組み。
  田んぼは、元々水を貯める機能を持っている。
  この機能を活かして、大雨の時、雨水を一時的に耕作している田んぼに貯め、少しずつ排水することで、下流域の洪水を抑制する。
  田んぼの排水口に板などを設置することで排水量を調整する簡単な仕組み。
  平野や丘陵地の広大な田んぼに広く浅く水を貯めると、多くの量の水を貯めることができる。
新潟県内の田んぼダムの取り組み
 新潟県長岡地域振興局農村計画課によると、県内の田んぼダム事業は平成14年度に旧神林村(現村上市)で全国で初めて実施された。
 その後、平地部を中心に拡大し、昨年度は52地域(新潟・長岡・上越など10市村)、計9200ヘクタールで行われている。
 ・見附市と見附地区圃場維持管理組合の田んぼダム事業の取組み
  6月10日(木)、見附市葛巻地区(六本木町、傍所町、反田町)と新潟地区の650haの水田を対象に、見附地区圃場維持管理組合役員約10名が1200本の水位調整管を設置した。
  これにより田んぼダムの面積は約850haに拡大。
  県営ほ場見附地区は昨年度に約204ヘクタールで実施した。
  来年度までの3カ年計画で、最終的に計1200ヘクタールに達する県内最大級の田んぼダム事業となる。
  完成すると、刈谷田ダム(長岡市)の貯水量約445万トンの4割に匹敵する水を一時的にためることができる。
  田んぼの見回りに来ていた農家の人は、農道を挟んで左右の田んぼを指差しながら、右側の田んぼはまだ耕地整理が終わっていないので田んぼダムではなく「暗渠排水」です。
  左側は耕地整理が終わっているので今回「田んぼダム」になりました。
  「暗渠排水」も「田んぼダム」も田んぼの水位を調整します。
  この田んぼも間もなく「中干し」しますと。
・中干し「稲」と「田んぼの生き物」
 ・中干しとは
  稲は出穂前40〜30日の間は水の必要程度の最も少ない時期で、田干しすることがかえって増取をもたらす。
  この時期(6月下旬から7月中旬)の田干しを、特に「中干し」と呼ぶ。
 ・稲
  田植えの後、田は常に水が湛えられた状態になっているため、放っておくと稲にとって有害なガスや酸が発生し根の発育に悪影響を及ぼす。
  そのため時々水を抜いて田干しを行う必要がある。
  これによって土中酸素が補給されると共に、有害ガスも放出されるため稲の根の発育は旺盛になる。
 ・田んぼの生き物
  水の張られた田んぼに生息していた生き物の多くが田んぼの乾田で死滅する。
・休耕地に水を張り湿地に再生する取り組み
 ・休耕田とは
  休耕田は、1970年からとられた政策といわれている。
  元々過剰供給を防止するためお米を作る水田の面積を減らすという経済政策がとられたことから「減反」と言われた。
  いきなり休耕田にしたのではなく、米作から他の作物への転換を求め、転換奨励金が給付されていたが思うような収益が上がらずやむなく休耕田に。
 ・新潟市丸潟新田の「再生湿地」(新潟市江南区丸潟新田・6月5日)
  新潟大学が、新潟県内の5カ所で休耕田に水を張って湿地に再生している。
  その一つが丸潟新田交差点付近にあった。
  休耕田の約3000平方メートルの土地には水深約20センチの水が張られ水草ミズアオイが芽を出し、フナやドジョウやコイが泳ぎ、トンボやカエルが住み水鳥も戻り昔の田圃に甦った。
 ・「藤蔵新田」の再生湿地(新潟市西区藤蔵新田・6月5日)
  新潟市西区藤蔵新田は新潟市美しい農村づくり事業モデル地区に指定されている。
  6月3日、新潟市と集落住民が協力、数年前から使われていない田んぼ約3ヘクタールの休耕田の一角に多様な生き物がすむ湿地に生まれ変わらせようと田んぼに水を張り「魚道」を設置して、生き物がいる排水路とつないだ。
  近くで農作業をしていた農家の人は、昔のように田んぼにドジョウやフナやカエルやトンボが戻ってくればいいのだがと。
新潟県内では「田んぼダム」の取組みと休耕田の「再生湿地」の取組みが進む。
これが田んぼダムの水位調整管 (イラストを模写)