津波に備える各市の取組み
東日本大震災以降地震や津波に対する備えが叫ばれている。
地震後の津波への警戒と早期避難の重要性、人命救助のため
の犠牲的精神の発揮を説いた「稲むらの火」という物語がある。
「稲むらの火」は戦前の国定国語教科書に教材として掲載された。
戦後60年余を経て2011年度より再び小学校5年生教科書、「国語五銀河」に「百年後のふるさとを守る」として再掲載されている。
新発田市藤塚浜集落では、地元藤塚小学校の児童が津波避難に役立てようと地域の公共施設などに海抜ステッカーを貼り付けたと新聞に出ていたので見てきた。
・「稲むらの火」とは
稲むらの火は、1854年(安政元年)の安政南海地震津波に際して紀伊国広村(現在の和歌山県広川町)で起きた故事をもとにした物語。
村の高台に住む庄屋の五兵衛は、地震の揺れを感じたあと、海水が沖合へ退いていくのを見て津波の来襲に気付く。
祭りの準備に心奪われている村人たちに危険を知らせるため、五兵衛は自分の田にある刈り取ったばかりの稲の束(稲むら)に松明で火をつけた。
火事と見て、消火のために高台に集まった村人たちの眼下で、津波は猛威を振るう。
五兵衛の機転と犠牲的精神によって村人たちはみな津波から救われた。
昭和12年の国定教科書「小学国語読本巻十」に「稲むらの火」が教材として掲載された。
・新潟県の地震発生に伴なう津波被害発生想定地域
東日本大震災を踏まえ新潟県の津波への備えを見直す新潟県津波対策検討委員会が開催され、新たに4領域が追加され津波被害発生想定地域は7領域となった。
1:新潟県北部 2:新潟県南西沖 3:佐渡北方沖 4:角田・弥彦断層
5:高田平野西緑断層帯 6:佐渡北方沖 7:秋田・山形・新潟県北部沖
5から7が新たに追加された4領域。
・津波避難ビルと津波避難場所の指定
新潟市は、津波発生または発生するおそれがある場合に、高層な建物を津波避難ビルとして利用できるように「津波時における一時避難施設としての使用に関する協定」を締結した。
また、公共施設を津波避難場所として指定している。
・津波時における一時避難施設(津波避難ビル)
・ANAクラウンプラザホテル新潟:新潟市中央区万代5丁目
・スーパーホテル新潟:新潟市中央区明石1丁目
・ドーミーイン新潟:新潟市中央区明石1丁目
・ニイガタ和光ホテル:新潟市中央区東大通1丁目
・万代島ビル(ホテル日航新潟):新潟市中央区万代島
・津波避難場所
・松浜小学校 ・松浜中学校 ・山の下小学校 ・桃山小学校 ・山の下中学校
・白山小学校 ・入舟小学校 ・豊照小学校 ・万代長嶺小学校 ・南万代小学校
・宮浦中学校 ・明鏡高校 ・万代高校
・海抜表示ステッカーの貼り付け
・新発田市藤塚浜集落
新発田市藤塚浜集落では、地元藤塚小学校の児童が津波避難に役立てようと地域の公共施設やコンビニや消火栓や海水浴場のトイレなど34カ所に海抜ステッカーを貼り付けた。
集落を歩き公共施設などに貼り付けられた海抜ステッカーを見てきた。
・八幡宮:13.5m ・藤塚浜上町:13m ・藤塚浜郵便局:12m
・藤塚浜海水浴場トイレ:7m ・藤塚浜上町:13m ・藤塚浜郵便局:12m
ほかに集落内の消火栓の格納庫などに1.5mから13mのステッカーが貼られている。
海抜ステッカーには、「ゆれたら高いところへひなんしましょう」と子どもでも読めるようにひらがなで表記されている。
・その他の地域
上越市や糸魚川や村上市なども津波に備え指定避難場所に「海抜表示」を設置している。
・番外:町内自主防災組織結成に向けての活動の取組み
町内ではプロジェクトチームを作り、来春の「町内自主防災組織結成」に向け活動中である。
9月29日、自治会館において新潟市西区役所地域安全係の担当者を招き「自主防災組織結成に関する勉強会」を開催した。
勉強会にはプロジェクトチームの関係者など20人が参加した。
日本全国各地で大震災などに備える防災活動の取組みが始まっている。
「稲むらの火」が教科書に (イラストを模写)