養殖マグロとアホウドリとトキ
養殖マグロの海洋への放流とアホウドリや自然界で誕生したトキ
などの話題が新聞に。
・養殖マグロの海洋への放流
近畿大水産研究所(和歌山県白浜町)が12月13日、
人工環境でふ化し飼育された完全養殖クロマグロの幼魚約1800匹を和歌山県串本町沖などから10月に放流したところ、12月までに静岡県から和歌山県にかけての海で8匹が捕獲されたと発表した。
近畿大は2002年、クロマグロの完全養殖に成功した。
放流したのは、串本町の施設で完全養殖した生後3カ月の幼魚。
体長は16〜28センチ、連絡先などを書いた標識(長さ約10センチ、太さ約1・5ミリ)を背びれに付けた。
10月15日と21日に、1862匹を沖合や沿岸のいけすから放流。
うち11匹には位置などを記録する装置を取り付けた。
10月16日〜12月5日、静岡県熱海市や三重県南伊勢町、串本町などで8匹が定置網にかかるなどして捕まった。
幼魚は、餌となる魚を捕らえられないと約30日で餓死するとされる。
放流から30日以上経過して捕獲されたのは2匹で、11月25日に三重県紀北町沖で釣り上げられたクロマグロは、体長が約24センチから約35センチに成長。
重さも約100グラムから約700グラムに増え、餌を食べて生き残っていた。
天然のクロマグロも同時に釣られ、群れにまざっていたとみられる。
同研究所は、放流したクロマグロの生存率や回遊経路を天然魚と比較する研究を進めるとともに、生態系への影響なども調べたいとしている。
・アホウドリ
12月5日の山階鳥類研究所広報ブログによれば、
絶滅危惧種アホウドリの小笠原再導入のため、2008年から2012年まで5年間、伊豆諸島鳥島から小笠原諸島聟島に合計70羽のヒナを移送し、人工飼育によって69羽の巣立ちに成功した。
このたび、2008年に小笠原諸島聟島を巣立ち去年戻ってきたオスの1羽が、つがいとなって、初めての産卵に成功したことが確認された。
これは山階鳥類研究所とNHKが共同で設置している監視カメラによって確認された。
島を巣立ったアホウドリがつがいとなって産卵に成功したのは初めてで、順調にいけば2か月ほどでふ化することから、来月にも聟島生まれの初めてのヒナが誕生する可能性がある。
国の特別天然記念物の「アホウドリ」の新たな繁殖地作りは、環境省と山階鳥類研究所などが4年前にスタートさせた。
このためNHKが、現地に遠隔操作できるビデオカメラを設置して、観察を続けたところ、12月14日、去年戻ってきた「Y01」の足輪をつけたオスの足元に卵があるのが確認した。
現地には繁殖を促すための偽物の卵が置いてあるため、山階鳥類研究所が慎重に映像を分析した結果、一部の卵の映像に、産卵の際についたとみられる血のあとが確認され、Y01とつがいとなったメスが産んだ卵と判断した。
・トキ
新潟県佐渡市で38年ぶりに自然界で誕生のトキの巣立ちが確認されて半年。
中国では幼鳥の1年間生存率が約半分とされる中、巣立った8羽すべての生存が確認されている。
快挙達成には、生きものに優しい農法を推奨する佐渡市の認証米制度が一役買ったとされている。
トキは自分の背より高い稲の中に入ることを嫌う。
そのため、夏場に水田内を利用することは少なかったが、今年は江(水田の脇にある幅60センチほどの深い水たまり)がある田に通う姿が目立つ。
幼鳥の死亡率が高いのは餌が少ない冬。
今年は冬の訪れが早く、トキが暮らす一帯も12月9日の降雪で田んぼも白一色となり初めて冬を経験する幼鳥には餌さがしに試練の季節が・・・。
佐渡自然保護官事務所によると12月19日時点の放鳥されたトキの情報は、
・放鳥数:108 ・生存数68 ・行方不明扱い:6 ・死亡扱い: 28
・ 死亡(死体確認):4 ・ 保護と 収容: 2.
となっている。
人工環境でふ化し飼育された完全養殖クロマグロの幼魚が海洋を回遊し、絶滅危惧種のアホウドリやトキが大空を舞う日も近いか・・・。
大空舞う自然界誕生のトキ (写真を模写)