本で知る故郷高田の飴とワインブドウ

kanazu362010-05-29

近くの本屋の郷土出版物コーナをのぞいた。
故郷高田のことを書いた「飴屋今昔」と「越後えびかずら維新」
の本を見つけ購入した。
・飴屋今昔(宮越光昭著・北越出版刊)
 粟飴(あわあめ)とは、新潟県上越市などで製造販売される水飴である。
 古くは粟、現在は餅米を原料としており、十返舎一九の道中本で紹介されるなど古くから 名菓として知られている。
 粟飴を加工した飴菓子として「笹飴(ささあめ)」「翁飴(おきなあめ)」「瑠璃飴 (るりあめ)」などがある。
 飴屋今昔は、越後高田の名菓「翁飴・笹飴」で知られる大杉屋惣兵衛の21代目宮光昭(82)さんが、飴とあめ屋の話を綴った本。
 上越市土橋の老舗和菓子店の「大杉屋惣兵衛」は、1592年に創業したと伝えられる。
 新潟県内創業最古企業の順位を見ると1位が吉乃川(1548年創業:長岡・酒造業)・2位が大杉屋惣兵衛(1592年創業:上越・和菓子小売業)・6位が高橋孫左衛門商店(1624年創業:上越・あね製造業)などなど。
 大杉屋惣兵衛で代々受け継いできた伝統的なあめの製法は、砂糖を使わずもち米の
でんぷんを酵素で分解して甘みを出す。
 作者は、あめは小規模の設備で作れるため、明治初期には高田地区で10数軒の飴屋があり、高田の名物となっていた。
 その後次第に減少し、昔ながらの方法であめを作る店は同社を含め現在市内で4軒となった。
 80歳を機に、残ったあめ屋として書いておきたいとこれまで集めた資料などをまとめて「飴屋今昔」を書き上げた。
・越後えびかずら維新(小関智弘著・小学館刊)
 5月23日の週間売れている本ベストテンで「越後えびかずら維新」が上越市で8、長岡市で5位に。
 本の帯封に、「文明開化の機運高まるなか、殖産の志たぎる群雄割拠の時代にひとり 雪深い寒村で私財を擲(なげう)ち、ワイン葡萄の植栽と改良に生涯を賭けた川上善衛。
 えびかずらからワイン葡萄へ知られざるもうひとつの明治人維新の物語」と書かれて いる。
 書き出しは「日本のワイン葡萄の父と呼ばれる人の話を書きませんか。明治時代に、 勝海舟のすすめもあって、雪深い新潟で私財を擲って葡萄づくりに生きた男がいるん です」で始まる。
 旧上越市高田出身で日本のワインブドウの父といわれる川上善兵衛(1868から1944)の生涯を書いた物語で、作者の小関さんは、善兵衛の生きざまを架空の高田瞽女(ごぜ)の眼を通して描いた。
瞽女さんとは、三味線を弾き、唄をうたって門付けをして歩く盲目の女性たちのこと。
 タイトルの“えびかずら”はブドウの日本古名。
 川上善兵衛のプロフイルは、
 ・慶応4年(1868年)頸城郡北方村の地主の家に生まれる
 ・明治20年(1887年)東京下谷の小沢善平に新しいぶどうの品種や接木の方法  についての教えを受け、山梨でぶどう栽培の初歩を学ぶ
  善兵衛が葡萄業を志したのは、植え付けを始めてから収入を得るまでの年数が早い  ことや、ワインの醸造法は失敗例が少ないため、外国産の苗木を日本の土壌で育て  れば、外国から搬入される高級ワインに負けないくらいよい国産のワインができる  であろうと考えたからでした。
 ・明治33年(1900年)33歳の若さで新しく誕生した高士村の村長となり、財政の安定、教育の振興、交通の確保に取り組む
 ・明治35年(1902年)皇太子殿下(のちの大正天皇)御一行が、岩の原葡萄園  にお立ち寄りになられ、葡萄園とワイン工場を見学された
 ・昭和9年(1934年)「寿屋(現サントリー(株))と共同出資で「株式会社寿葡萄園」を設置し、昭和11年に「株式会社岩の原葡萄園」と改称した
 ・昭和19年(1944年)中頸城郡高士村の自宅で76歳の生涯を終える
 本の中に高田の町中の瞽女宿で瞽女唄を聞く場面があろ。
 百姓の他に大工や鍛冶屋や桶屋の職人も呼ばれたと。
 生家の近くに大工町や鍛治町や桶屋町がある。
 桶職人だった父も瞽女歌を聞いたのだろうか・・・。
故郷高田の飴とワインブドウが本となり、多くの人が飴とワインブドウを本で知る。
私は今でも故郷のみやげに懐かしい「翁飴」を買うのだが。

故郷のみやげは「翁飴」 (イラストを模写)