中之口村如澤家を訪ね「越後輿地全図」を見る

kanazu362009-01-19

旧中之口村河間の旧家如澤家に江戸時代に描かれた
「越後輿地全図」が残されていると知り、雪の降る1月13日
NPO坂井輪地域学のメンバー6人が如澤家を訪ね地図を
見てきた。
江戸幕府の地図事業(インターネットから)
 江戸幕府の地図事業は、江戸時代に江戸幕府によって進められた国土基本図の
 編纂事業のこと。
 大きく分けて日本地図である日本図(にほんず)と諸藩に作らせた国絵図(くにえず)に
 分けられる。
 江戸時代に作られたの地図には、正保日本図・元禄日本図・享保日本図・天保国図・
 伊能忠敬の地図がある。
 ・正保日本図
  正保元年(1644)12月25日、幕府は諸大名に対して地図及び郷村高帳の作成を
  命じた。
  この際に6寸1里(21600分の1)という全国共通の縮尺が導入された。
  通説では慶安4年(1651)に新番頭北条氏長が諸国の国図を元に全国地図を作成して
  幕府に献上したと言われてきたが・・・
 ・元禄日本図
  元禄10年(1697)4月28日、幕府は諸大名に対して再度地図及び郷村高帳の作成を
  命じた。
  元禄15年(1702)、諸藩の国図を元に井上正岑・狩野良信(御用絵師)らによって
  全国地図も作成された。
 ・享保日本図
  享保4年(1719)、8代将軍徳川吉宗が直々に建部賢弘を召して再訂を命じた。
  建部は望視(交会法)を用いて主要地点の位置を確定していき、享保8年(1723)に
  完成した。
  なお、この時には諸大名からの国図の提出は求められなかった。
 ・天保国図
  天保2年(1831)、幕府は諸大名に対して地図及び郷村高帳の作成を命じた。
  天保9年(1838)にほぼ完成したものの、全国地図については既に大日本沿海輿地
  全図が作成されている事から作成されず、同地図に欠けていた内陸部を中心とした
  詳細な記述が行われて、大日本沿海輿地全図とともに明治以後の地図の参考に
  された。
  国立公文書館に現存し、天保郷帳と共に重要文化財に指定されている。
 ・伊能忠敬の地図(大日本沿海輿地全図:だいにほんえんかいよちぜんず)
  大日本沿海輿地全図は、江戸時代後期の測量家伊能忠敬が中心となって作製された
  日本全土の実測地図である。
  「伊能図(いのうず)」とも称され、完成は文政4年(1821年)。
・越後輿地全図(インターネットから)
 越後輿地全図(えちごよちぜんず)は、新潟県立図書館に保管されている。
 目録によれば、草間文績・種類:地図・地域:新潟県佐渡を除く)・大きさ:縦207センチ、
 横130センチ・出版(成立)年:文政元年(1818)写・出版地:不明・出版者:不明と
 書かれている。
 解説には、作者の草間文績は新潟町の人である。
 それまでの地図が不完全であることから、自身で数年にわたって実際に道をたどって
 調査した。
 「山・郡境・郷村・駅路・古蹟などを探索し、地勢の方位・分界を図って作製した」とあり、
 位置関係、距離関係が正確である。
 5枚組の大きな地図で、「弥彦荘」といった戦国期末まで存在した荘園の名前も記されて
 いて興味深い。
 明治期の写しと思われる。
・中之口村簡誌(河間村から中之口村へ)
 明治22年(1889)町村制の施行により道上村・福島村・河間村の3村が合併して道上村
 が成立した。
 明治34年(1901)道上村と打越村が合併して道上村となった。
 昭和29年(1954)7月7日、道上村と小吉村が合併して中之口村となった。
 平成17年(2005)3月21日、中之口村は新潟市編入合併した。
・如澤家と長沼家
 如澤家の現当主如澤寛(74)さんは、如澤家と長沼家の先祖は信濃国の出身で信濃から
 越後の河間村に来た。
 長沼家は如澤家を頼って越後に来たといわれる。
 長沼家は河間村の名主となったが、長沼家の子女が如澤家に輿入れしたことから両家は
 親戚関係にあると。
・「越後輿地全図」と如澤家
 「越後輿地全図」は、木箱に入っていた。
 上書きには、「越後輿地全図」と書かれ、ふたの裏には「西蒲原郡道上村 長沼三男三郎
 全5枚」と書かれている。
 箱の中には、如澤家所有の経緯が書かれた書付が入っている。
 本地図は長沼三男三郎の所有なることは箱裏に明記されておるとおりですが・・・
 祖母如澤美輪から聴くところによると、明治末期頃或る質屋から聞き及びその質屋に
 借金の質品として入っていたものを質受け、如澤家に保存して居ることになった。
 以上の事は長沼家も諒承済み・・・
 地図5枚を畳の上に広げた。
 10畳2間続きの部屋に5枚の地図がやっと収まった。
 地図は、和紙に顔料で描かれている。
 5枚目の地図の下に「文政元歳次戊寅秋八月 北越新潟住 草間文績識」と書かれて
 いる。
新年早々すばらしい「越後輿地全図」を見ることができた。
帰りに如澤寛山さんから中之口村村長時代に村広報誌に連載した「随筆村長のひとり言
(考古堂刊)」の本をプレゼントされた。
今年もNPO坂井輪地域学の活動が始まった。

畳の上に広げられた「越後輿地全図」を見る (イラストを模写)